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「地域があるから、私たちの店がある。」等身大の覚悟で未来を走らせる

有限会社木曽サイクル 木曽 智子 氏
自己紹介をお願いします。
1985年3月27日生まれです。高校は英数学館、大学は大阪の大手前大学に進学しました。その後、カナダ・トロントにあるキングジョージインターナショナルビジネスカレッジへ留学し、語学だけでなくビジネスコースで経営について学びました。在学中は複数の企業でインターンシップも経験し、「社会の中で働く」という感覚を少しずつ身につけていきました。帰国後は金融関係の仕事に就き、その後、東京の出版社で広告営業を担当しました。美容クリニックや美容院、エステサロンなどに広告枠を提案する仕事で、目まぐるしい毎日でしたが、人と関わりながら価値を届ける仕事の面白さを知ることができました。
結婚を機に尾道へ移住した当初は、専業主婦として子育てに向き合う日々を送っていました。家業である木曽サイクルについては、夫が「いつか継ぎたい」という思いを持っていましたが、その頃の私は外から店を見ている立場でした。ただ、店の様子を見ながら「こうしたらもっと良くなるのでは」と感じることは少なくありませんでした。経営に関わるつもりはなかったものの、自然とそんな視点を持っていたのだと思います。
息子が卒園する頃、「ちょっとやってみたい」という気持ちが芽生えました。夫の覚悟と自分の思いが重なり、入社を決意。夫が戻ってきたタイミングで、「二人でしっかり経営していこう」と腹をくくりました。木曽サイクルはかつて複数店舗を構えていた時代もあったそうですが、現在は一店舗のみ。だからこそ、これまでのやり方を続けるだけでは難しい——その現実に向き合ったとき、経営者としての覚悟が一気に芽生えました。「やるからには、中途半端にはしたくない。」そう思った瞬間から、私の中で仕事への向き合い方が変わりました。
仕事内容を教えてください。
現在は、自転車や原付の販売(新車・中古)、修理、そしてレンタサイクル事業を行っています。子ども向けの自転車から高齢の方でも乗りやすい電動自転車、本格的なスポーツバイクまで幅広く取り扱っており、キャノンデールなど海外ブランドも揃えています。ただ、ここ数年で大きく変わったのは市場環境です。物価高の影響で、新車を気軽に購入できないお客様が増えました。そこで私たちは中古自転車の強化に取り組んでいます。レンタサイクルで使用した自転車を、まだ十分に使える状態のうちに地域の方へ販売する仕組みもその一つです。
本来であれば、レンタル車両は使い切るまで運用した方が利益は出るでしょう。それでも私は、「地域があってこその店」だと考えています。良い状態の自転車を手頃な価格で提供できれば、お客様の満足度が高まり、それが信頼となって返ってくる。短期的な利益だけではなく、長く愛される店であること。その積み重ねが、結果的に経営を支えてくれると信じています。私たちの仕事は、自転車を売ることだけではありません。地域の移動を支え、暮らしを少し便利にすること。その役割を担っているという自覚を持ちながら、日々店に立っています。
仕事に対する思いを教えてください。
仕事をする上で大切にしているのは、「思いやりを持つこと」と「迎合しないこと」の両立です。優しさは必要ですが、何でも言いなりになることが優しさだとは思いません。プライドを持ち、軸をぶらさずに働くことを意識しています。時には難しいご要望をいただくこともあります。そんなときは、「譲るべきところ」と「譲ってはいけないところ」を見極めるようにしています。それがすべてのお客様に対して公平なサービスにつながり、結果として信頼を築くことになるからです。もう一つ、強く意識しているのは「数字や利益だけを追わない」ということです。もちろん経営において収益は欠かせません。でも、それだけを見ていると仕事はどこか味気ないものになってしまう。だからこそ、たとえ大きな利益につながらなくても、「やりたい」「喜んでもらいたい」と思える取り組みをあえて仕事の中に組み込んでいます。経営とやりがい、その両方を成立させることが理想です。効率だけでは測れない価値を大切にする——それが私なりの経営スタイルなのかもしれません。
将来の目標・夢はありますか。
実は、事業をどんどん拡大したいとか、際限なく売上を伸ばしたいという思いはそれほど強くありません。自分の手と目が届く範囲で、新しいことに挑戦し続けたい。そのためにも、まずは地に足のついた強い会社にしていきたいと考えています。今、具体的に思い描いているのは宿泊施設の運営です。レンタサイクルとの相性は良いですし、日本人の暮らしや文化を海外の方に体験してもらえる場所をつくりたい。ゆめしま街道やしまなみ海道沿いで実現できたら——そんな構想を描いています。ただ、どんな夢よりも大切にしているのは家族です。家族が元気で笑っていなければ、足元が揺らいでしまう。だからこそ、仕事とのバランスを取りながら歩んでいきたいと思っています。子どもたちには、「行きたいなら行ける自分に、やりたいならやれる自分になってほしい」。その姿を言葉ではなく、自分の背中で見せていきたいですね。地域に支えられながら、自分たちらしい形で未来をつくっていく。派手さはなくても、確かな歩みを重ねていきたいと思っています。
ありがとうございました。(文/畑・写真/上田)

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